2018年に3ヶ月間の実践型研修として全国に先がけて開講された「奥大和コミュニティナース養成講座」を11名が修了。五條市と十津川村にてフィールドワークを行った。
奥大和コミュニティナース養成講座のはじまり
健康づくりをする医療人材としてコミュニティナースが導入されました。
翌年2018年、奈良のコミュニティナース“奈良コミナス”を増やすべく、奈良県庁と株式会社CNC(旧:Community Nurse Company株式会社)が共同で行う「奥大和コミュニティナース養成講座」が始まりました。自治体主催のコミュニティナース養成講座は全国で一番最初の取り組みです。
「コミュニティナースとは」を座学を学んだ後、奈良県内の自治体の協力を得て、フィールドワークを行いました。座学と実践を行うことで、自分ごととしてコミュニティナースを学ぶことができる仕組みです。
2020年には、コミュニティナース活動の周知・普及を図る目的の「基礎講座」と、持続可能なコミュニティナース活動を目指すべく「ステップアップ講座」が行われました。
コロナ禍を乗り越えブラッシュアップされる講座
2020年はコロナ禍になり初めての講座でした。なかなか地域に出られない医療者のために、オンラインと対面のハイブリット型の講座にするなど工夫をして開催されました。オンライン導入のおかげで県外からの参加が促されたり、オンラインだからこそ生まれる密な個人講座を開催したりすることができ、良い面もありました。
時代のニーズに合わせて工夫を凝らし、毎年奥大和コミュニティナース養成講座を開催しています。修了生はのべ165名(2024年現在)となり、県内外の市町村に実践家が生まれました。
【奥大和コミュニティナース養成講座修了人数】
2018年 11名
2019年 10名
2020年 37名(基礎講座25名 ステップアップ講座12名)
2021年 43名(基礎講座35名 ステップアップ講座8名)
2022年 35名(基礎講座29名 ステップアップ講座6名)
2023年 29名
医療人材にこだわらない多様な“奈良コミナス”
奈良コミナスの実践・振り返りを重ねていく中、医療人材に限らず多様な人や企業、行政を巻き込むことでより立体的に地域ケアに結びつくことが分かってきました。
「自分の経験を生かして地域に役立てたい」「ずっと住んでいるこの街を元気にしたい」など“コミュニティナースマインド”を持っている人が実践しやすい土壌を整えていけるよう、奥大和コミュニティナース養成講座の内容も毎年アップデートされています。
また、“コミュニティナース”という名称が看護師を連想させることから、看護職以外の人が参入しにくいという課題も見えてきました。そこで“奈良コミナス”と呼ぶことで、看護師や医療人材に限らず“奈良コミナスマインド”を持っている方を巻き込んでいく力を加速させています。
現在は、「奈良県内の地域・コミュニティの一員として、自分の『好き』や『得意』を活かし、奈良・奥大和が元気になるために働きかける人」が増えるよう働きかけています。
奈良コミナス実践家から学ぶゼミ形式講座へ進化
2023年3月、複数の奈良コミナス実践家たちはコミュニティナース発祥の地である島根県雲南市を訪問しました。その中で「奈良の実践家たちで自ら講座を作ろう」という発案がありました。同年、奈良県と株式会社CNC(旧:Community Nurse Company株式会社)、そして奈良コミナス実践家がチームとなり、新しい講座が開催されました。奈良コミナス実践家が3チームに分かれ、自身の実践を座学で伝えた後、各フィールドでの見学・実践が行われました。各チームに分かれていた講座ですが、最終日には合同で学びの共有とこれからの門出を祝う“出発式”を開催しました。仲間としての横のつながりを強化し、活動が継続しやすいよう土壌を整えています。