地域看護の実践としてのコミュニティナース
「人とつながり、まちを元気にする」コミュニティナースのあり方は、看護の実践の一つとして認知されてきています。2022年医学書院から出版された教科書「地域・在宅看護の実践 第6版」にコミュニティナースが看護実践の一つの形として掲載されています。この中に、奈良コミナスの実践も写真とともに掲載されています。
これからの地域医療を学ぶ看護学生たちに、奈良コミナスの実践について学んでもらいたいという声が高まり、実践家による講義や講演が増えています。
奈良県内外8校で行われた講義・講演
奈良コミナス実践家の荏原さん、山端さんは、奈良県内外の看護学校や大学で講義・講演を行ってきました。奈良県立医科大学、奈良学園大学、広島大学など、合計8校で講義や講演を行っています。その他、日本看護学会や日本プライマリ・ケア学会で発表したり、地域の集会所で話したりしています。また、天川村の山端さんは川上村の梅本さんらと看護学生のフィールドワーク(宿泊実習)や大学生や留学生などのインターンシップの受け入れも行っています。
医療現場にいる方にこそ“コミュニティナースマインド”が必要
山端さんは、「医療現場で働く人にこそ、コミュニティナースの視点やマインドを持ってもらいたい」と話します。
医療現場にいると、すでに何らかの疾患を抱えた人や悪化した人と出会うことが多いので、あらかじめ決められた治療に当てはめることが優先されます。そうすると病気や症状を中心とした視点で患者さんを見てしまいがちですが、地域にいる時から「一住民」として関わることで、患者さんをより広い視点でアプローチすることが可能になります。また、退院後の生活についても、地域での暮らしや住民同士の繋がりがイメージできると退院指導のあり方も変わってくるそうです。
コミュニティナースマインドの発露
山端さんは「医療現場で活躍する人は元々自分の中にコミュニティナースマインドを持っていると思うんです。だからそのマインドが自然と発露できるような土壌を整えて行けたらいいな、って思います」と話しています。
山端さんの元でフィールドワークをした看護学生は、「わたしはまだ看護師の資格を持っていないから何もできないと思っていたけど、地域の人のために考えて行動していること自体が“コミュニティナース”だったんだ!わたしもやれてた!」と弾ける笑顔で語っていました。自分の中の“コミュニティナースマインド”が発露した瞬間です。
広がる奈良コミナスの役割
“コミュニティナースマインド”を発露していく土壌を整える活動の一つとして、今後も大学や看護学校、地域の集会での講義や講話を担っていく奈良コミナス。自分の中に秘めていた“奈良コミナスの種”が新たに発芽していく様子が広がっています。